皆がみんな狂っているとか理解できないとかって騒ぎ立てるけれど、本当は分かりやすい単純な思考回路だと思わない?

 自分に自信が無くて、他人を信じられない彼。
 誰かを愛し、その人の目に自分以外の人間が映ることすら不快に、そして不安に思う。だから愛した人の視界に映る人間を潰し、とりあえずは安心する。
 ……ああ、この時点でもう彼が狂っていると思うかな? でも、キミだってそう感じた事があるはず。彼の場合、少しばかり独占欲が強いんだよ。それだけ。

 だけど当然、それを知ったら愛した人は彼を拒絶する。彼は愛する人に自分を見てもらおうと必死になる――愛されようとするんじゃなくて、見てもらおうとね。
 彼はまるで幼い子供のように愛した人の注意を引こうとする。それが子供の行為よりどんなに惨く残酷な行動であるかも分からず、相手を追い詰め、傷つける。他の人間と接する事が出来なくなるまで相手を傷付けてもまだ安心できず、従順に従うようになるまで更に追い詰める。そうして、彼はやっと安心する。

 けれどフラッシュバック現象のように、恐怖は再び訪れる。
 ある時から、彼は愛した人が他人の目に映る事すら恐れるようになる。空気にすら愛する人を触れさせる事すら不安になり、相手を永遠に自分だけのものにしようとする。そしてある時、ときが相手を蝕んでいく事を恐れるようになる。既に抜け殻である愛した人と、常に一緒に居たいと思うようになる。

 結果、その日から何食か、肉料理が続くようになる。しかも彼はこっちの皿には肉を一つも入れない。味気ない食事だよ、こっちにとっては。

 そういえば、相手を“好きになる”のと相手を“愛する”の違いは相手の幸せを考えているか否かって何処かで聞いた気がする。それだと“彼の愛した人”って言い方は語弊があるかもね。彼は相手を好きになるあまりに相手の幸せを考えられないんだと思うな。だから人を愛せない。イコール、彼は相手を愛していなかった。
 ああ、何て可哀想な彼。何て可哀想な相手。

――キミで、何人目だろうね?






Insanity


俺、昼飯はシチューがいいな

05.10.xx (date:05.11.08)
私的カニバリズム。『いとしいいとしいいとしい』と同世界のイメージ。
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