今なら、神にだって縋れると思った。










 この結末が予想できなかった自分が、どうしようもなく愚かで笑えた。
 いや、正確には違う。予想してはいたのだ。
 トランプタワーのように不安定な均衡が崩れたとて、何の不思議もないだろうに。
 いつしか、それを忘れていた。

 彼は破壊を望んでいた、彼女は破滅を望んでいた。
 簡単に、想像できる結末だったのに。


 小さくはない水の粒が髪を、頬を、服を塗らしていく。
 体はどんどんと冷えていったが、それ以上に、目の前に横たわるヒトの肌は冷たい。
 反対に、流れる赤い液体は生温かかった。
 酸素をまだ多量に含むそれは真紅で、薄暗い世界にそれが毒々しく映える。

 助ける方法は1つ。
 最善の行動はとれない。

 ここで眠りにつくのが幸せなのかもしれない。
 けれど、だから――





 濡れて壊れないかと心配になったが、これしか連絡手段がないのだから仕方ない。
 そう思って、


 携帯を、手に取った。








最後の言葉を交わせればよかった
05.07.xx
書こうとしていた長編の残骸。一応序章です。
二次創作で使っていたキャラを再利用していたので、見る人が見れば分かるやも。
いつかやってみたい気はするのですが、とりあえず保留で。


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