「おはよう! 今日も一日頑張ろうね!」
「おはよー! 頑張ろうね! 学校まで気をつけてー」

 といって、きみと会わない一日が始まり、

「寝ます。おやすみなさい」
「おやすみなさーい! 明日も頑張ろうね!」

 といって、きみに触れない一日が終わる。

 会えないことが苦痛だった、けれど、それは決して甘い恋慕のせいではない。対面せずとも言葉を交わす不自然さが、声を使わずに思いを伝える不愉快さが、苦痛だった。

「おはよう」
「おはよー。今日も頑張ろうね^^」

 空気を読むのは日本人の美徳だと誰かが言ったけれど、故意に空気を読ませることは果たして美徳と呼べるのだろうか。ましてやその空気は、大気に漂う空気ではなく、電波に流される空気なのだ。

「寝ます。おやすみなさい」
「おやすみー。良い夢見てね^^」

 辛いことがあったなら辛いと言えばいい。
 悲しいことがあったなら悲しいと言えばいい。

 面倒くさいとは思うけれど、聞く準備はいつだって出来ているんだ。それなのに、ぼくの方から訊ねさせようなんて卑怯じゃないか。
 そんなことを言ったら、優しくないとぼくを詰るのだろうか。でも、優しくないぼくを選んだのは、きみだ。

「おはよう。嫌な夢見た」

 どんな夢? とでも聞いて欲しいんだろうね。
 聞きたくないよ、興味なんてないから。人の嫌な話を、望んで聞く趣味はないんだよ。

「おはよー! どんまい>< 今日は良い夢見られるよ!」

 語りたければ勝手に語ってくれ。ぼくは絶対に訊ねない。
 きみから聞いた“ぼくの夢”の話を、ぼくは絶対に忘れない。きみが、嫌な夢にぼくを巻き込もうとしてるとしか思えないんだ 。きみが、慰めよりもぼくが不快になることを望んでいるとしか思えないんだ。

「バイトだるい」
「頑張って!><」
「行きたくない……」

 なら行かなければいい、といえば、でも行かなきゃいけないんだ、ときみはいうのだろう。
 反応しなければ不機嫌になるのだろうけれど、どう反応したらきみは満足するんだ。

「」

 ねえ、それでもぼくは、きみを傷付けたくないんだよ。
 きみを傷つけずに全てを終わらせるには、どうしたらいいんだ。

「」

 思いでも言葉でもなく、ぼくの存在がきみを傷付けるなら、



この電波の届かない世界に、行ければいいのに。
100914 // 残念、8月31日に更新したかった。
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