「……とーくべーつなおんりーわーん……」
「……何歌ってるの?」

 クラスメイト以上友人以下である自分の問いに、彼女は「現実逃避?」と答えた。教室の窓枠から身をのりだしてだれている様子はなんとも危なっかしい。
 この教室は3階にある為、落ちても死にはしないだろうが重傷の可能性は高い。現実に落ちることはないだろうが、相手は天然ボケキャラである為に油断も出来ない

 たまたま友人が傍にいなかったから暇で、たまたま窓際に危なっかしい格好の彼女がいた。
 休み時間。だから声をかけた。何となく。

「ナンバーワンじゃなくてもオンリーワンならいいんだってさ」
「ああ……だから現実逃避なんだ」

 実際、オンリーワンに何が出来るのだろう。

「そー」

 CDは持っていて、ただ何となく聞いた歌。
 慰められているような気分になった。
 慰めというのはイコールで見下しに結びつくと思った。

「世界に一つだけでもさー……一つだけがいっぱいあったら意味ないよねー」

 溜息混じりに呟いたのが彼女の本音か、ただ無意味な呟きか。
 分からないけれど。

 自分と同じ事を考えている人間もいるんだなぁと思った。
 自分が特別な思考回路を持っている訳ではないんだなぁと思った。
 自分はナンバーワンでもオンリーワンでもないのだろうなぁと思った。

 たった一人の自分は世界に必要とされていないのだろうと改めて認識した。

「きみって意外と冷めてるよね」
「そーぉ? それ言うならそっちも冷めてると思うなぁ」
「……そう?」

 校庭の隅には、世界に一つだけの雑草の花が咲いていて。
 構内を整備する用務員のおじさんが、それを一本一本抜いていた。








厭世的な態度がかっこいいと、思っていたんだ。

05.11.27 // 目に付く耳にする全てに反抗したいお年頃。
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